『百億の星と千億の生命』カール・セーガン

 多くの科学者が、「今までどおり続けると本当に危険な結果を招く」とか、「産業文明は墓穴を掘っている」と声を上げてきた。しかしそのような恐ろしい警告をまともに受け止めると非常に高くつく。影響を受ける産業は利益がなくなるだろう。我々自身も不安を増す。・・・(中略)・・・ 「何も心配することはない」とか、「論争点はまだ証明されていない」とか、「環境には自浄作用がある」などと主張する科学者も出てくる。そうなると人間の常としてそっちを信じたくなる。そういうものなのだ。彼らが正しいなら、我々の重荷を限りなく軽くしてくれる。そういうわけで「急いで取り掛かるのはやめよう」「慎重に、ゆっくりとやろう」「よく確かめてからにしよう」となる。(本文より) 
 いつだってどんな分野でもありうるね。そんな世間をよくよくわかった上でセーガンは語り始める。科学の専門じゃない人びとに向けて、科学の話を、未来の話を、愛の話を。本書は彼の遺作。(2017.7.3)

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