並樹画廊イチカワBRANCH







写真:中村晃


所在地 :千葉県市川市
用途  :ギャラリー
構造  :木造2階建
施工面積:65.80㎡
設計期間:2023年10月〜24年6月
工事期間:2024年7月〜9月
施工  :中野工務店

 大門通りの空き店舗をリノベーション。参道の良き佇まいを引き継ぎながら開かれたギャラリーを目指す。
 予算の都合、ほぼ外部には手を入れず、内部を自力での解体作業から始めた。どこを壊し、どこを残すか、それがそのままギャラリー空間の骨格を決める作業となった。

 町には建売住宅が次々に建っていく。大きな樹木も風格のある古い家も蔵もかまわず消えて更地になる。そんな風景を毎日見せられるのは胸が痛い。私たちがやっているこうした作業から眺めていると、そのスピードは目が回るほどはや過い。

 古い木造空間に、タフな壁とかつてのモルタル床、実験的な展示や企画も対応できる空間に近づいてきた。運営をしながら、空間は変化を続けていくことになる。
「ビジョンを固めてそれに近づける」と言うより、まず開くことからはじめてみようというクライアントの「はじめに正解を決めない」スタンスは、古い建物のリノベーションから生まれ、はじまっている。